館蔵資料の紹介 2017年
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町田市御嶽堂遺跡出土
(左)推定口径17.0×現存高12.8cm 縄文時代早期
東京都町田市成瀬台の御嶽堂(みたけどう)遺跡から、1969(昭和44)年の発掘調査で出土した、縄文時代早期前半の土器である。破片が少なく本来の形に直せなかったが、写真は3つ分の土器の破片で、いずれも胴部から次第にすぼまる砲弾形をした尖底の深鉢であったと推定される。口唇部が外側にふくらみ、口縁直下に横方向の沈線を巡らす以外、文様はない。胴部表面は、なでたり磨いたりして、光沢を持つほど丁寧に調整されている。
発掘当時、この型式の土器は類例が知られず、調査した玉川学園考古学研究会の戸田哲也氏は、重要性を早くから指摘していた。その後同型式の土器が市内の本町田・藤の台遺跡(1978年調査)と、西成瀬・成瀬西遺跡群第Ⅱ遺跡(1980年調査)から出土した。
土器の型式名は最初に発見・報告された遺跡名を冠するのが通例である。本資料は、埼玉県美里町の東山(ひがしやま)遺跡にちなみ、東山式と呼ばれる。御嶽堂遺跡の発掘調査報告書は、2017年の発行であるが、調査後間もなく刊行されていれば、このタイプの土器は御嶽堂式と呼ばれていたかもしれない。