館蔵資料の紹介 2017年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2017年 > 浅鉢形土器
町田市田端遺跡出土
口径32.3×現存高14.2cm 縄文時代晩期
写真の浅鉢形土器は、町田市小山町所在の田端遺跡から出土した。この遺跡では、縄文時代後期後半から晩期にかけての環状積石遺構(かんじょうつみいしいこう)(一種のストーンサークル)が、1968(昭和43)年春に玉川学園考古学研究会が実施した発掘調査で検出された。
積石周辺に同時期の住居址等が存在する可能性があり、同年冬から第2次調査を実施した結果、本資料が環状積石遺構の北西方向から出土した。東北地方を中心に分布する晩期の大洞C2式に比定される。
口縁に1カ所、1対の突起状の装飾がつく。口縁下3cmほどのところが肩のように張り出し、径が最大となっている。ここには細長い眼鏡に似た模様が横1列に並ぶ。胴部の上半分には、細い線で左上から右下方向に傾く区画を作り、中に細かい縄文によって「雲形文(くもがたもん)」が施されている。底部は残っていなかった。
土器の表面は内外ともに化粧土をかけた後、丁寧に磨いて仕上げている。最大径は約32cmあるが、厚さはわずかに7mm程度しかなく、大変精巧な作りとなっている。