館蔵資料の紹介 2017年
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土製 町田市御嶽堂遺跡出土
高7.7×最大幅5.0×厚2.3cm 縄文時代中期後半
この土偶(どぐう)は、玉川学園のキャンパスの南東1km程に位置し、玉川学園考古学研究会の学生・生徒らが発掘調査を行った御嶽堂遺跡の出土品である。
両腕を横に伸ばした胴体に頭部が付き、線描きによる文様が全身に見られる。頭部に目鼻や口などの顔面は表現されず、後頭部は髪を結い上げたようにやや膨らみを持ち、渦巻き状の文様が施されている。
胴部の表面は、両胸と下腹部にボタン状の盛り上がりがあることから、妊婦を表しているものと思われる。脚部は胴体と一体化した作りになっている。
裏面には、かなり崩れた表現ではあるものの、線描きで「背面人体文」呼ばれる、大の字の姿で立つ人物のようなものが描かれている。
土偶は、祭祀・呪術的な目的で製作・使用されたと考えられ、破損した状態で出土するのが一般的である。すべての破片が揃わないことも多いが、この土偶は、両足の踵(かかと)がやや欠けているものの、ほぼ全身像が復原できた点でも重要である。