館蔵資料の紹介 2017年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2017年 > 『Japanese Children』挿絵
岡田松生(まつお)著 東京:東陽堂
縦23.8×横17.0cm 1895(明治28)年
端午の節句にふさわしい資料を紹介する。日本の子供の暮らしを外国人向けに紹介した絵本、『Japanese Children』に収録されているこの挿絵は、明治28年5月頃の日本の風景を描いたものだ。河原で子供たちが竹馬に乗って、楽しそうに遊んでいる。まだ乗ることができない幼児たちも馬の玩具を持って戯れている。対岸の家々には鯉のぼりや源氏の白旗が上がっている。
本書では、端午の節句の他にも、正月、花見、桃の節句、夏祭り、水遊び、相撲、兵隊ごっこなどのようすが描かれ、巻末には挿絵ごとに短い英語の解説が入る。この挿絵の解説では、西洋で鞭打ちをイメージさせる竹(bamboo)が日本では遊びの道具に用いられていることや、幼児の遊ぶ馬の玩具の頭部は藁で、耳は蜜柑の木の葉でつくられる地方もあることなどが紹介されており興味深い。
このような日本の文化や風俗を紹介した絵本は、明治期から昭和初期にかけて出版されたようである。著者の岡田松生(1858~1939)は、近代日本におけるキリスト教の源流ともいえる「熊本バンド」に属したクリスチャンであった。