館蔵資料の紹介 2017年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2017年 > 教草(おしえぐさ)第一 稲米一覧(いねこめいちらん)
丹波修治 述・溝口月耕 画 文部省博物局
和紙に木版色刷 37.2×51.2cm 1873(明治6)年
「教草」は、明治初年に文部省博物局(一部博物館という名称で刊行)でつくられた教育用の木版画である。明治政府は1873(明治6)年のウィーン万国博覧会に参加するため、各府県に対し輸出品として有望な物産品の原料や作業工程の図説化を求めた。「教草」はこの図説をもとに子供用の教育絵図として制作されたものである。政府は幼い頃から各産物の概略を知ることが、将来必ず産業の興隆につながると考えたのである。
「稲米一覧」は稲の品種の解説にはじまり、稲作の工程や使用する農具などを文章と絵で説明している。右下には各地の米の品質や収穫量を表にしたものも加えられている。このほかに糖、養蚕、生糸、豆腐、藍、茶、漆、蝋、紙、蜜蜂、油、紅など、衣食の原料や製造方法に関する図が、1872(明治5)年から1874(明治7)年にかけて計34枚制作されている。なお、第一図から第二四図までの版木は1875(明治8)年7月に起きた内務省の火災で失われたが、同年の9月以降、焼失分が再刻された。