館蔵資料の紹介 2016年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2016年 > ガスパールへ、父親ホアキンからの手紙
便箋 縦 27.2×横 21.3cm
封筒 縦 12.4×横 14.8cm 紙、ペン
1926年3月3日(水)バルセロナ
世界的チェリスト、ガスパール・カサドの父親ホアキン・カサドもまた名を知られた音楽家で、主に作曲家として活躍した。幼少のガスパールは父親から音楽の手ほどきを受けてまたたく間に頭角を現し、やがてスペインを代表する音楽家となる。
便箋と封筒に、カサドの母親アグースティーナが営んでいた楽器店「Cassadó y Moreu」のレターヘッドが確認できるこの手紙は、父親ホアキンから息子ガスパールの滞在先であったローマ・インペリアルホテル宛に送られた。内容は、息子の息災と順調な演奏活動を喜び、この先もうまくいくよう願っていること、また、バルセロナのリセウ劇場で聴いたレスピーギ作曲の交響詩《ローマの松》が大変素晴らしく、もしレスピーギと会ったら、お祝いの言葉を伝えてほしいというものである。ここから、若きガスパールと、イタリアを代表する作曲家レスピーギとの親交を知ることができる。ホアキンが亡くなったのは、この手紙を出してから約2カ月後、5月のことだった。