館蔵資料の紹介 2017年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2017年 > デュオ・カサド演奏会ポスター
白黒、片面印刷 縦28.0×横39.8cm 1966年 ドイツ
ガスパール・カサドの死去により、幻となった「デュオ・カサド」の演奏会ポスターである。1967年1月15日、シュトゥットガルト市ウンターテュルクハイムの教会で、カサドと智恵子の「デュオ・カサド」による演奏会が行われるはずであった。プログラムはバロックからフランス近代までの作曲家による作品で構成されており、夫妻の豊かなレパートリーが窺える。
1959年の結婚後から世界を舞台に活躍した「デュオ・カサド」。突然の終止符が打たれたのは1966年12月24日のクリスマス・イヴのことであった。カサドはこの日、滞在先のマドリッドのホテルで、愛する妻の智恵子に見守られて亡くなった。
図らずも母国スペインで没したカサドは、智恵子の誕生日でもある翌25日、カサド家の墓地に静かに埋葬され、その死は故郷のバルセロナに伝えられた。新聞各紙が追悼文を掲げ、人々は深い悲しみに包まれた。英「タイムズ」紙でも、ヴァイオリニストのユーディ・メニューインが、カサドの誇り高き音楽精神を称えた。