館蔵資料の紹介 2016年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2016年 > 百鳥図 模写
栗本丹洲画 紙本著色 巻子装
縦53.0×横796.0cm 1807(文化4)年
この資料は、清の4代康熙帝(こうきてい)の命により余曽三(よそうさん)が100種の鳥を植物とともに描き、各図に張廷玉(ちようていぎよく)と顎爾秦(がくじたい)が詩をつけた図譜の模写である。原本は5代雍正帝(ようせいてい)の時代に完成し、1737(乾隆2)年に日本に写本が請来した。原本は中国に現存していないという。図譜は当時「百花鳥図」と呼ばれ、中国や東南アジアの鳥を知るために珍重された。想像上の鳥「鳳凰(ほうほう)」から始まり、「サイチョウ」「コバタン」など異国の鳥が色鮮やかに描かれている。
百鳥図を模写した栗本丹洲(くりもとたんしゆう)(1756-1834)は幕府の医官であるとともに、動植物を研究した博物学者として知られる人物で、幕府の医学館で博物学も教えている。丹洲は生物の観察力と描写力にすぐれ、数多くの図譜を残した。かのシーボルトは、日本で収集した標本とともに丹洲の描いた図譜をオランダに持ち帰った。それらをもとにデ・ハーン、テミンク、シュレーゲルらがまとめた『日本動物誌』には、丹洲の描いた甲殻類の図31種が収録されている。