館蔵資料の紹介 2016年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2016年 > 現代實業作法 學生用
甫守謹吾(ほもりきんご)著 東洋図書株式合資会社
縦22.4×横15.0cm 1932(昭和7)年
『現代實業作法』は1931(昭和6)年4月に制定された、文部省実業学校修身科の作法要項を採録した教科書である。多くの挿絵を用いながら、生活や仕事で大切とされる作法を分かりやすく解説しているため、読み物としても楽しめる。内容は姿勢、座り方、敬語、電話の応対や手紙の書き方、訪問、食事のマナー、公衆作法、皇室を敬う心得、国家に対する姿勢、外国人との交際など多岐にわたっている。
今回紹介する頁は外国人との交際について説明している。外国人には親切、丁寧に接するとともに我が国の国体、国風、国民性を理解させるように努めるべきだと説いている。右上の挿絵は外国人を玄関に訪問する様子を、左上の挿絵は国賓に対する花籠の捧げ方を表したものである。この2枚の挿絵からも、外国人に対する敬意が読みとれる。西洋の文化や習慣に関する記述も少なくなく、満州事変が起こった翌年に刊行された教科書でありながら、第一次世界大戦後の国際協調の時代の雰囲気を感じさせる。