館蔵資料の紹介 2015年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2015年 > 子供遊(あそび) 角力(すもう)
作者不詳 木版色刷 大判錦絵2枚続
縦35.8×横48.5cm 1868(慶応4)年頃
日本の国技、相撲がテーマの錦絵である。土俵では今まさに2人の子どもが組み合うところ、後ろにはそれぞれ複数の力士が控えている。戊辰戦争の旧幕府軍と新政府軍の戦いを風刺したもので、右側の力士の廻しには薩摩藩を意味する「サ」と「つ」の符号、左側の力士の廻しには会津藩を表す蝋燭があることから、右が新政府軍、左が旧幕府軍だとわかる。
控えの力士も、新政府軍側には長州藩、尾張藩、土佐藩、津藩、彦根藩、旧幕府軍側には徳川慶喜、仙台藩、庄内藩、米沢藩、加賀藩の符号がそれぞれ描かれている。「天下泰平」の軍配を持つ行司の羽織には菊紋が描かれ、天皇を表しているのであろう。実際の政治情勢も影響しているのか、薩摩藩を表す力士が攻め、会津藩を表す力士が防御の姿勢である点が興味深い。
行司の視線は薩摩藩を表す力士に向けられている。画面上部の取組札には「萩の戸」や「佐知帆古」(名古屋城のシンボルである鯱(しゃちほこ)をもじったと思われる)など、諸藩を連想させる四股名が書かれている。