館蔵資料の紹介 2015年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2015年 > 稚遊(おきなあそび)四季之内 夏
歌川(一猛斎)芳虎画 木版色刷 大判錦絵
縦34.0×横22.4cm 江戸時代後期
アヤメが咲く初夏の頃に、竹馬と赤貝馬(うま)で遊ぶ2人の子どもの姿を歌川芳虎が描いた錦絵である。竹馬は2本の竹にそれぞれ横木を取りつけ、そこに足を乗せて、バランスを取りながら歩く遊び道具である。竹馬といわれる遊びには、他に笹竹を馬に見立てて股にはさみ、またがって遊ぶものがある。幼友だちを「竹馬(ちくば)の友」というのはこの遊びのほうで、中国の『晋書(しんじょ)』の故事からきている。
赤貝馬は、赤貝の殻に穴を開けて紐を通して手綱とし、貝殻を乗馬の際につける鐙(あぶみ)に見立てて足を乗せ、「ぱっかぱっか」と音を立てて歩く遊びである。赤貝のかわりに、竹の節の部分を使ったものを「竹ぽっくり」「竹ぐつ」、明治以降缶詰の空き缶を使ったものを「缶馬(かんうま)」「缶ぽっくり」という。
子どもたちは、少し大きくなると自分たちで工夫をしながら、このような遊び道具を作って遊んでいた。