館蔵資料の紹介 2015年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2015年 > 子供風俗 たがまわし
宮川春汀 木版色刷
縦37.2×横25.0cm 1897(明治30)年
「たがまわし」は「輪まわし」ともいい、先端が二股になった棒を使って、たが(樽や桶の周囲にはめる竹または金属製の輪)を倒さないようにころがして進める遊びである。昭和のころには、たがのかわりにタイヤやスポークを外した自転車のリムも使われた。止まっていてはたがが進まないので、走りながらたがをうまく操作する。輪をまわす遊びは古代ギリシャにすでにあったとされ、世界各地にみられる。日本では江戸時代に大流行した子どもの遊びである。
この作品には、暮れ時に着物姿の2人の男の子がたがと先が二股になった棒を持って立つ姿が描かれている。2人は兄弟であろうか。大きな子が「もう家に帰ろう」とでもいうように小さな子の肩に手を置いている。作者宮川春汀(みやがわしゅんてい)(1873‐1914)は本名を渡辺守吉といい、三河国(現愛知県)の廻船業・薬種問屋を生業とする商家に生まれた。幼少の頃から絵が得意であった春汀は画家を志して上京し、富岡永洗(とみおかえいせん)に学んだ。子供絵・美人画などの風俗画のシリーズや新聞・雑誌の挿絵で知られ、数多くの作品を残している。