館蔵資料の紹介 2015年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2015年 > 單語歌留多(たんごかるた)
49組98枚
沢村屋清吉版
厚紙に木版色刷
1873-74 (明治6-7)年頃か
縦5.8×横4.1cmほか
カルタの中には、遊びながら知識習得につなげる「学習カルタ」と称すべき分野があり、この「単語歌留多」もその一種といえる。字札に振り仮名を付した漢字1、2字の単語が記され、絵札にはその語の絵に、1字目の漢字が添えられる。これらの単語は、1873 (明治6)年に東京師範学校(現筑波大学)が編纂(へんさん)(翌年に文部省が改正出版)した掛図、第一および第二単語図から採択されている。これらの単語図は、歴史的仮名遣いで同音の「イ・ヒ・ヰ、エ・ヘ・ヱ」「ワ・ハ、オ・ホ・ヲ、ジ・ヂ、ズ・ヅ」の使い分けの用例を示したものである。カルタの字札上部に該当の仮名が記されるのも、そのためである。カルタと文部省版掛図とを比較すると、49種60語の札のうち2種のみ単語が異なる。絵札の図柄は、掛図と全く同じではないが、明らかに掛図の絵を参考にしている。 学校用の大判の掛図を縮小した玩具は時折見かけるが、掛図に基づくカルタは珍しい。これを使った子どもたちは、学校で習ったことの復習も兼ねて、遊びながら仮名遣いを覚えていったのであろう。