館蔵資料の紹介 2014年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2014年 > キリストとサマリアの女
ヴェネツィア派 キャンバスに油彩
縦78.0×横95.0cm 17世紀後半
この絵画は新約聖書「ヨハネによる福音書」4章に記されている「キリストとサマリアの女」を表したものである。
当時、ユダヤ人とサマリア人の間には民族的な確執があり、互いに交際することを避けていた。しかしイエスはこの慣習を打破した。シカルというサマリアの町の井戸で、水をくみに来たサマリア人の女性に水を求め、イエスが主であることに気づいた女性に「この水を飲む者は誰でも渇く。しかし、わたしが与える水を飲む者は決して渇かない。わたしが与える水はその人の内で泉となり、永遠の命に至る」と語りかける。そして自らが救い主であることを告げ、真の信仰について述べている。
井戸の傍らに腰をおろしたイエスは、霊と真理をもって神を礼拝することを説いているようにみえる。女性は豪華な衣装を身にまとい髪を結っているが、これは女性が高級娼婦であることを示している。右端には町の城壁と、食料を買いに出かけていた弟子たちがイエスのもとに戻ってくる姿が描かれている。