館蔵資料の紹介 2014年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2014年 > 聖母マリア
作者不詳 キャンバスに油彩
縦36.0×横30.0cm 18世紀 小原國芳寄贈資料
この作品のマリアは、赤い衣を着け、頭から青色のマントをかぶっている。顔は右側に少し傾けたように描かれ、両手を胸の上に組んでいる。
両手を組む形は、受胎告知の場面でよく見られるポーズであり、本作も神の思召しによってやがて救世主となるイエスを産むことを象徴する姿で表現されている。
青いマントは天の真実、赤色の衣は、天の慈愛をあらわしている。いわゆる「美しいマドンナ」タイプのこの作品は、神の子イエスを産む敬虔なマリアの、気高く美しい姿を描いている。
聖母マリアの図像は、贖罪の死をとげたキリストを抱く図像としてのピエタや幼児イエスを抱く聖母子像などがあるが、近世以後ではイエス誕生以前におけるマリアも聖母像としての主題となった。その場合、聖書をもって神に帰依する清純な乙女としてあらわされる。
本作はその伝統に属するマリア像であり、18世紀にイタリア ルネッサンス期の古典的な画像を範として描かれたものである。