館蔵資料の紹介 2014年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2014年 > 玦状(けつじょう)耳飾
1点(半欠) 石 磨製
町田市清水台遺跡D地点
縄文時代中期
縦5.7×横3.7×厚0.6cm
縄文時代前期から中期に特徴的な耳飾りの一種に、玦状耳飾がある。玦とは古代中国の装飾用玉器(ぎよつき)で、リングの一端が切れたC字状をしたもののことである。縄文時代の耳飾りと中国の玉器とは無関係だが、形が似るため玦状耳飾と呼ぶ。
この耳飾りは一種のピアスで、耳たぶに孔(あな)を開け、リングの切れた部分からはめ込んで装着した。石を磨いて作られるが、リングの端部の幅が極端に広がっている形から、時期的に新しい縄文時代中期のものと考えられる。
本資料は、中央部から折れて半分しか残っていない。写真の向かって左側の直立する部分がリングの切れ目に相当し、本来は弧状の上部でつながる対称形の左半分が存在した。
上部に開けられた孔の役割は、折れた耳飾りに紐を通してしばって補修した可能性が考えられる。あるいは、折れた断面を丁寧に磨いて再加工していることから、半分に壊れた状態の耳飾りを垂れ飾りに転用した際に開けたものかもしれない。