館蔵資料の紹介 2014年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2014年 > エジプトから帰還する聖家族
銅板に油彩 縦54.5×横72.0cm 1700年頃
父ヨセフは、ユダヤ人の王ヘロデの迫害から逃れるため、幼児イエスと母マリアを連れてエジプトにとどまるが、主の天使から夢で、ヘロデが死んだためイスラエルに帰るように告げられる。
この場面は、主の天使のお告げに従い、ヨセフがイエスとマリアを連れて、エジプトからイスラエルに帰還するところを描いたものであろう。
特徴的なのは、イエスの手をとりながらも主の天使にまなざしを向けるマリアに対して、ヨセフの視線はイエスを見つめ、イエスも信頼のまなざしでそれに応じている構図である。そこには主の呼びかけに応じ、妻と子を守ろうとする、毅然とした父親の姿がある。
手には聖ヨセフのシンボルであるユリの花を手にしている。聖家族の背後にある遺跡のような建物は、エジプトの異教文化を連想させる。
新訳聖書『マタイによる福音書』の記述によれば、聖家族はその後、ナザレという町に住んだという。