玉川大学教育博物館 館蔵資料の紹介(デジタルアーカイブ)

教育博物館では、近世・近代の日本教育史関係資料を主体とし、広く芸術資料、民俗資料、考古資料、シュヴァイツァー関係資料、玉川学園史及び創立者小原國芳関係資料などを収蔵しております。3万点以上におよぶ資料の中から、月刊誌「全人」にてご紹介した記事を掲載しています。
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館蔵資料の紹介 2014年

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第6期国定教科書 『国語 第六学年 上』 「ある画像」

第6期国定教科書 『国語 第六学年 上』 「ある画像」

文部省 縦20.5×横14.9cm 昭和22(1947)年

カトリック教会では、5月を聖母マリアの月としている。そこで、今回は聖母に関するテーマで資料紹介を行う。

「ある画像」と題する教科書の中の一文は、ひとりの子どもの元に、ラファエロの「小椅子の聖母」の絵葉書が送られてきたところからはじまる。その絵葉書を題材に、隣に住む、若いときに世界をまわった絵画好きのおじさんと子どもとの対話が展開され、本物の美術作品を鑑賞することの大切さが語られる。  ラファエロの「小椅子の聖母」と「サンシストの聖母」では、聖母の表現の仕方に違いがあることを話すなど、小学校の教科書にしては、かなり専門的な内容になっている。本文も「イエス」ではなく、「キリスト」という言葉で表現される。

さらに当館所蔵資料のこの教科書には、「いすによるマドンナ」という活字のわきに「キリストの母」という児童の書き込みがある。日本の公立小学校の教室で、聖母のことが語られたほんの一瞬の時を示す史料である。

「全人」2014年5月号(No.783)より

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