館蔵資料の紹介 2014年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2014年 > 大新板宝船組上
作者・版元不詳 木版色刷
縦35.5×横16.5cm 鈴木三郎助氏寄贈資料
江戸・明治・大正期にかけて流行したものにおもちゃ絵がある。おもちゃ絵とは、簡単にいえば、子どものためにつくられた錦絵のことである。対象は子どもだったが、中には大人も楽しめる内容のものもみられる。種類は多様で、ハサミや刃物で図を切り取り、風景や芝居舞台を組み立てる組上燈籠絵(くみあげとうろうえ)のほか、着せ替え絵、紙相撲、メンコ、カルタ、絵合わせ、福笑いなどのように遊具として使用するものや豆本、絵巻風に仕立てて鑑賞するものなどがある。
この組上は、郷土玩具にみられる、車のついた宝船を題材にしたおもちゃ絵である。寶(宝)の字が書かれた帆をかかげ、珊瑚、七宝、米俵、打出の小鎚、小判、分銅、隠笠などの財貨を満載した宝船は、招福、商売繁昌、長寿の縁起物として親しまれている。また、新年の夜に宝船の絵を枕の下に入れて寝ると良い初夢を見ることができるという。作者や版元はわからないが、絵柄のまとめ方や文字の体裁から、明治期に大阪で制作されたものと推測される。