館蔵資料の紹介 2013年
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芦田一英(あしだ いちえい)(6世 貞松斎米一馬 芦田春寿(ていしょうさいよねいちば あしだ はるひさ)
1冊 和紙 木版色刷
大和綴和装本 29丁
明治44(1911)年2月
縦27.8×横20.2×厚1.3cm
華包とは贈答用の切花の包み方、今風にたとえれば、花束のラッピングマニュアルということになろう。
古くは花を贈る際、檀紙、鳥の子紙、奉書紙等を2枚重ねにして折ったもので包み、水引を掛けるのが作法で、江戸時代には広く庶民の間にも普及していた。
包紙の折り方は、花の種類、木物か草物か、色、季節、慶弔等の目的により異なり、これの使い分けが求められた。また、紙は白くても良いが、色紙を用いる場合は、有職(ゆう そく)装束の襲(かさね)色目のように、配色にも注意が必要であった。
著者の芦田一英とは、後年遠州流(えん しゅう りゅう)華道6世宗家を継承した芦田春寿(1878-1966)である。明治以降万事西洋風になると、花も花輪等に仕立てられ、古来の包み方が次第に忘れ去られていった。これを惜しみ、正しい包み方が再び行われるように、流派の古書等にあたって本書を編纂したという。巻末に各種の紙の折り方をまとめて図示した、実用書でもある。