館蔵資料の紹介 2012年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2012年 > 『石に描く術』
チャールズ・ジョゼフ・ハルマンデル 著
石版印刷
27.3×19.1cm
1824年
ハルマンデル(Charles Joseph Hullmandel, 1789-1850)は、ジョン・グールドの鳥類図譜の石版印刷(リトグラフ)を担当した刷師で、19世紀初期から中期の英国における石版印刷を代表する人物として知られている。ロンドンに生まれた彼は、パリで美術を学び、風景画家として活動をはじめた。その頃スケッチ旅行の途中ミュンヘンで、石版印刷の発明者であるアロイス・ゼネフェルダーに会い、石版画に関心を持ったという。
石版画の特徴は、版をつくるにあたり、木版や銅版のように版材を彫刻したり、腐食したりする技術的工程がなく、作者自身が絵画と同じように版面に自由に描画することができることにある。石版印刷技術を習得したハルマンデルは、1817年頃にロンドンで印刷工房を設立し、画家テオドール・ジェリコーの石版印刷で技術的信頼を得た。
この本は、石版印刷の特徴、作画法、美術的効果、作例などを示した手引書であり、石版印刷の需要拡大をねらう目的でつくられている。