館蔵資料の紹介 2012年
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中村爽歩(なかむら そうほ) 作
紙本著色
縦144×横209cm
昭和23(1948)年
伊藤宗一郎氏寄贈資料
地面が雪におおわれ、葉の落ちた樹木が広がる風景を大胆なタッチで描いたこの作品は、日本画家・中村爽歩の代表作といえる風景画である。
爽歩は明治32(1899)年に、宮城県仙台市で生まれた。本名は徳二で、生家は市内の国分町で料亭「青葉」を営んでいた。幼い頃から描くことが得意であった爽歩は、宮城県立第一中学校から東京美術学校(現東京藝術大学)に進み、松岡映丘(まつおか えいきゅう)に日本画を学んだ。
卒業後は主に帝展に出品しながら制作を続けたが、戦争が終わると東京を離れて仙台に戻った。以後、仙台を拠点として活動し、改組された日展に連続入選して、無鑑査となった。県内では河北美術展顧問をつとめ、また美術団体「白伸会」を主宰するなど、後進の指導にもつとめたが、昭和49(1974)年に没した。
作品には風景画が多く、重厚な画面と詩的な雰囲気による独特な画風を作り上げている。なお本作品は現在、大学8号館の1階ロビーに展示されている。