館蔵資料の紹介 2012年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2012年 > 泰西訓蒙図解
田中芳男 訳/内田晋斎(うちだ しんさい) 校
文部省
木版刷彩色 22.3×14.9cm
明治4(1871)年
本資料は欧米文化を果敢に摂取する明治日本人のエネルギーを伝えるものだ。『泰西訓蒙図解』というタイトルのついた本資料は、明治初期に発刊された絵事典である。
食器部、家屋部、野獣部、学校部、兵卒部などの分類のもと、多くの事物が西洋風の美しい挿絵で描かれ、それらの単語がドイツ語、英語、フランス語で書かれている。もちろん、漢字およびカタカナも付されており、外国語が分からない読者でも何を意味しているのか理解できる仕組みになっている。きっと外国語学習の初心者の教材として使われたのであろう。
本ページには学校に関する事物を掲載している。学館、石板(せきばん)、紙、刀子(とうす)、石筆などの単語が挿絵とともに描かれている。訳書とはいえ、教室の風景がヨーロッパの学校のままなのも面白い。明治4年といえば、大多数の日本人が西洋の存在すら知らない。そんな時代に本書を刊行した人たちの先見性と冒険心に敬意を表したい 。