館蔵資料の紹介 2011年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2011年 > First Reader of the School and Family Series
Marcius Willson 作
大阪同志出版社
18.7×12.7cm
明治18(1885)年
本書はアメリカの小学校教科書がもとになっていて、田中義廉(たなか よしかど)編『小学読本』(文部省刊行)など明治初期の小学校教科書の底本にもなっている。日本では『ウィルソン・リーダー第一読本』の名で知られている。本書にはアルファベットや単語、簡単な文章や数字、貨幣の単位などが書かれ、表紙や挿絵はエッチングにより刷られている。また神への感謝など、宗教的な内容にも触れている。挿絵が随所に描かれていて、みているだけでも楽しい。本書を使いながら、効果的な教育活動を行えるように教師向けの「指導の手引き」も掲載されている。
原本はもともとアメリカで刊行されたものだが、本書は大阪同志出版社が原典を模刻して印刷した。奥付には「大阪同志出版社蔵版」とある。アメリカの小学校教科書が原文のまま、明治18年に日本で印刷されていたことになる。当時の日本人の知識欲、学習欲には驚嘆の念を感じざるを得ない。