館蔵資料の紹介 2011年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2011年 > 白磁青釉線刻文花器
井上康徳(いのうえやすのり) 作
高さ22.0×口径47.5cm
2009年
井上康徳氏寄贈資料
白磁は、陶石(とうせき)や磁土(じど)を主原料として、轆轤(ろくろ)または型打ちで成形し、素焼きののち、長石(ちょうせき)・石灰などに木灰(もくばい)を混ぜて調合した透明釉(とうめいゆう)をかけて焼成する工程によって制作される。白の発色は素地の色によるもので、この作品のように彫文様(ほりもんよう)や釉(うわぐすり)などを併用することもある。
作品は口縁から底部に向けて線刻と青の釉薬(ゆうやく)が斜めに走り、これが白磁の美しさをいっそう際立たせている。花器に注目しながら周りを歩くと、線刻と青の色がゆっくりと回転するかのように見える。
作者の井上康徳氏は、現在「白磁」の重要無形文化財保持者(人間国宝)である井上萬二(まんじ)氏の長男として、1958年に佐賀県有田町に生まれた。大学を卒業した1981年から陶芸家の道を志し、萬二氏に師事しながら白磁の技を学び、活動をはじめた。
作風は、白磁の伝統を守りつつ、彫文様や彩釉などの多彩な技法を駆使した造形に特徴がある。康徳氏は、日本工芸会正会員として、また国内外の展覧会において作品を発表し続けている。