館蔵資料の紹介 2011年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2011年 > 武者絵幟
1対
木綿布
手描き染め
明治時代
鳥取県米子地方採集
縦196.0×横44.0cm
端午の節供(せっく)が近づくと、庭に幟を立てる家が見られる。幟の起源は、神の依代(よりしろ)としての旗といわれる。元は紐でとめていた旗を、布の上辺および片側の長辺に、布や革製の輪を縫いつけ、逆L字の竿にはめるようにした。
こうした幟旗の形状は、室町時代にできたとされる。風が吹くと布が竿を上下するので、「のぼり」と呼ぶようになったという。
室町時代、幟は戦場で使われるようになる。旗指物(はたさしもの)として自分の存在を示し、敵味方を識別する目印となり、また自分たちが活躍する様子を、自軍の本陣から確認してもらう役割も持っていた。
江戸時代には、幟は子どもの健やかな成長や出世を願って、甲冑(かっちゅう)などとともに節供飾りに用いられるようになる。図柄は家紋、勇壮な武者絵や、中国の魔除けの神、鍾馗(しょうき)などを描くことが多いが、近年は子どもの名前を大きく染めたものもある。本資料は、家紋の下に川をはさんでにらみ合う騎馬武者の姿が、手描きで染められている。