館蔵資料の紹介 2011年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2011年 > 小供風俗 瓢箪ぼっくり
宮川春汀(みやがわ しゅんてい) 画
版元:滑稽堂(秋山武右衛門)
木版色刷
33.5×20.0cm
明治29(1896)年
作者の宮川春汀(1873-1914)は、愛知県渥美郡に生まれた。幼少の頃から絵を描くのが好きだった春汀は、上京して画家の富岡永洗(とみなが えいせん)に師事し、蓬斎洗圭(ほうさい せんけい)と名乗った(明治28年宮川春汀に改名)。作画期は明治20年代から30年代にかけてで、子ども絵、美人画などの風俗画や雑誌、新聞の挿絵の分野で活躍した。
春汀の「小供風俗」と題したシリーズは48作あり、いずれも春汀特有の繊細な色彩と奥行きを工夫した画面構成で、子どもたちの姿や遊びの情景を豊かに表現している。なお、画題の「瓢箪ぼっくり」とは、「瓢箪ぼっくりこ」とも呼ばれた子どもの遊びである。今では知る人がほとんどいない遊びであるが、劇作家・随筆家の長谷川時雨(しぐれ)の『旧聞日本橋』には、「(縦に)つながってしゃがんで、両方に体を揺(ゆ)すって歩みを進めて、あとの後(あと)の千次郎と、唄いながらよぶと、一番後ろの子が、ヘエイと返事をしてくる。問答がすむと、その子がこんどは先頭になるのだ」という遊び方の記述がある。