館蔵資料の紹介 2010年
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Adolf Douai 原著、関 信三 訳述
全3巻附録1巻
袋綴装
縦22.2×横15.2×厚0.8cmほか
明治9(1876)年7月
東京女子師範學校版権所有
明治9(1876)年11月、日本最初の幼稚園として、東京女子師範学校(現在のお茶の水女子大学)に附属幼稚園が開設された。同校は幼稚園を舞台に幼児教育の実践研究はもとより、保育者の養成も重要な役割とし、幼児教育関係書籍の刊行も行った。
本書は、アメリカ人医師 A.ドウアイの著書『The Kinder-garten』(1871年)を翻訳したものである(ただし附録は別人の著書の抄訳)。これによりフレーベル流の幼児教育の理論や方法が紹介された。
訳者の関信三(1843-80)は、もと東本願寺でキリスト教の調査に携わっていたが、語学の才能に優れ、明治5年から2年ほどイギリスに滞在した。帰国後に東京女子師範学校の英語教師となり、附属幼稚園の開設にともない、その初代責任者(監事)に就任した。本書は、開園の4カ月前に刊行された。その後も彼は幼稚園関係の訳書などをいくつか著し、幼稚園監事在職中に37歳で没した。