館蔵資料の紹介 2010年
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歌川芳藤
版元:東京・松野米治郎
大判錦絵
明治28(1895)年
鈴木三郎助氏寄贈資料
おもちゃ絵のうち、人や動物などの前後両面の姿を切り抜き、それを貼り合わせて遊ぶものを「両面合わせ絵」という。
この資料は、歌川芳藤が描いた両面合わせ絵「新版源氏姿」で、華麗な衣装に彩られた「光源氏」「明石姫」「若紫」を、上段が表面、下段が裏面の構成でまとめられている。保存状態が極めてよいため、制作当時の色彩がそのまま残る作である。
芳藤は、本名を西村藤太郎といい、文政11(1828)年に生まれ、明治20(1887)年に60歳で没した。歌川国芳の門人として活動をはじめ、武者絵、麻疹(ましん)絵、横浜絵、開化絵などを多く残したが、明治5、6年頃からは、おもちゃ絵を専門にして人気を博し、「おもちゃ芳藤」として知られた絵師である。
なお、当館所蔵の鈴木コレクションには、このほかに「物尽くし絵」や「組上燈籠(くみあげとうろう)」など、4点の芳藤の作品がある。