館蔵資料の紹介 2010年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2010年 > 学校生徒体操錺立(かざりたて)之図
小林幾英 画
版元:東京日本橋区/秋山武右衛門
大判錦絵3枚続
明治20(1887)年
鈴木三郎助氏寄贈資料
組上燈籠(くみあげとうろう)とは錦絵の一種で、描かれたとおり部品を切り取り、芝居、風景、建物などを組み立てる玩具絵(おもちゃえ)である。組上燈籠のほか、切組燈籠(きりくみとうろう)、組上絵、組立絵、立版古(たてばんこ)などとも呼ばれ、江戸・明治・大正期にかけて、子どもから大人まで楽しめる遊び物として流行した。
組上燈籠には、一枚物から複数枚続きのものもあり、裏打ちしたのち、ハサミや小刀で切り抜き、糊代(のりしろ)に糊をつけて組み立てていく。なお、燈籠という字が使われているのは、盂蘭盆会(うらぼんえ)の供養に使われた紙細工の燈籠飾りからきたものと言われている。
この組上燈籠では、正面玄関の上がバルコニーになった2階建て擬洋風小学校の校庭で、子どもたちが体操をしている場面が再現されている。手前には綱引きとその応援をする男の子たち、紅白幕の向こうには男子の亜鈴(あれい)体操、女子の遊戯のほか、蹴鞠(けまり)、シーソー、ブランコをする子どもたちがあらわされ、当時の小学校における体操・戸外遊戯の情景がよくわかる資料である。
写真キャプション:上の写真3点は原画。下の写真は複製による組立完成形