館蔵資料の紹介 2010年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2010年 > 蚕桑図解(さんそうずかい)
1冊
彦根藩/編・刊
和装本 木版墨刷
明治4(1871)年1月序
縦25.7×横17.7×厚0.6cm
明治時代初期の日本からの輸出品は、首位が生糸、次に茶葉で、このふたつで輸出総額の約7割を占めた。とくに生糸は1930年代まで代表的輸出品でありつづけたが、そのためには、原料である良質な繭の確保が重要であった。
本書は政府による殖産興業の掛け声の下、彦根藩が養蚕振興のため、廃藩置県の半年前に、平易な文章に豊富な図を加えて出版した、初心者向けの手引き書である。
内容は、前半が養蚕の際に飼料となる桑(くわ)の栽培法の解説で、種子の採取、種まきから、生長段階に応じた移植等の育成管理方法を述べ、最後に桑の品種を説明する。
後半は蚕(蠶)(かいこ)の飼育法で、孵化(ふか)から幼虫の各齢段階における飼料の与え方、上蔟(じょうぞく)から繭掻(まゆか)き、採卵までの方法や、室温維持等の飼育環境管理の仕方を解説している。
なお、玉川大学図書館には、本書と対をなす彦根藩版の『製茶図解』(明治4年刊)が所蔵されている。