館蔵資料の紹介 2010年
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片岡京二 作
布に油彩
大正5(1916)年
83.0×53.0cm
まど・みちお氏寄贈資料
この絵は、昨年10月に生前の片岡京二氏と親交のあった児童文学者まど・みちお氏から寄贈を受けた資料である。
片岡氏は、明治32(1899)年に広島県呉市に生まれ、明治45(1912)年から京都市立美術工芸学校で絵を学んだ。大正12(1923)年に上京して本格的に活動をはじめ、個展・同人展の開催や帝展などに日本画を出品して活躍し、当時は若手作家として世の注目を集めた。
しかし、束縛の多い画壇やそこに群がる人々との関係に嫌気がさし、画壇を離れていった。以後、どこにも所属せず、絵本や児童書の挿絵を描きながら、制作活動を続け、94歳で没した。本学出版部刊行の書籍にも挿絵を提供した縁もあり、当館は関係者から作品や関係資料計320点の寄贈を受けている。
作品は、油彩画を描いていた京都時代のもので、彼の記録によると当時洋服屋から布を買い求め、自家製キャンバスをつくって描いたという。片岡氏初期の作品として貴重な資料である。