館蔵資料の紹介 2010年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2010年 > 拓響(たくきょう)
後藤和信 作
紙本著色
134.0×189.0cm
1966年
後藤司右一氏寄贈資料
この作品は、1960年代の玉川学園近郊の風景を題材にしたものである。重機によって削られて段になった部分を直線的な赤で、削り取られた面を白の顔料であらわした造成の様子が、農地と後景の自然の間にダイナミックに配置されている。開発という波に自然が飲み込まれていく無機的で無残な場面は、単なる風景画を超え、社会的メッセージを宿したものになっている。
作者の後藤和信氏(1930-2007)は、静岡県に生まれ、1949年井上恒也(川合玉堂門)に師事して、花鳥画を学んだ。その後1954年に静岡県展で知事賞受賞後上京し、田中清坪に師事した。1957年には日本美術院展に初入選する。以来、日本美術院展を中心に活動し、海外ではブラジルの大統領府宮殿、アメリカのデンバー美術館、スペインのマドリッド公館などに作品が収蔵されている。
なお、後藤氏は1966年に、「叢(くさむら)」という大作を玉川学園に寄贈されている。その作品は現在、玉川大学9号館ロビーで見ることができる。