館蔵資料の紹介 2009年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2009年 > 四声附韻 冠註補闕 類書字義 校正 増続大広益会玉篇大全
10巻首1巻(12冊)
毛利貞斎編
秋田藩明徳館蔵版
和装本
木版墨刷
19世紀
刊年不詳・元禄4(1691)年序
縦25.5×横18.4×厚1.4cmほか
秋田藩の藩校は、藩主佐竹義和(さたけよしまさ)が寛政元(1789)年に創設し、文化8(1811)年から明徳館と称した。藩政改革の実現には何よりも人であるとし、文武両道にわたる人づくりが行われた。就学は藩士の男子に限らず、希望すれば広く陪臣(ばいしん)、足軽、百姓町人、女子も選考の上、入学が許されていた。
本資料は、中国南北朝の梁(りょう)で編まれた辞書『玉篇』を母体に、これに増補を繰り返し、さらに音訓、訓点を加えた漢和辞典である。なお、親字(おやじ)とその読みおよび解説のみで、熟語は採り上げていない。元禄4(1691)年に毛利貞斎(もうりていさい)が校正増補したものを、秋田藩が明徳館蔵版として重版したものである。このように藩校では、さながら現在の大学出版部のごとく、出版活動も行っていた。
現在の秋田県大仙市域の住人の旧蔵書で、箱に収め、各冊の表紙を紙で包んでカバーし、それが擦り切れるほど大切に使い込んでいたことがうかがえる。