館蔵資料の紹介 2009年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2009年 > 柴野栗山筆蹟
絹本墨書
掛軸装
享和3(1803)年頃
縦141.2×横31.5cm
中国晋の永和9(353)年3月3日、会稽(かいけい)(浙江(せっこう)省紹興)の蘭亭(らんてい)に40余名が集い、曲水の宴の原形となる、詩を賦(ふ)す催しが行われた。その際の詩集の序文は、書聖王羲之(おうぎし)が担当し『蘭亭序』として有名であるが、この詩集にはさらに、出席者のひとりで文筆で名高い孫綽(そんしゃく)(孫廷尉)の作である、後序と呼ばれるものがある。この書は、『蘭亭後序』の一節に基づくもので、「振轡於朝市 則充屈心生 閑歩於林野 則寥落意興」とある。
筆者の柴野栗山(しばのりつざん)(1736−1807)は讃岐の人で、名を邦彦という。高松や江戸で学んだ後、徳島藩に仕えていたが、天明8(1788)年に招かれて幕府の儒者となり、寛政異学の禁などの学政を推進した。また、昌平坂学問所の立ち上げにも携わり、そこでの教育も担った。栗山は、尾藤二洲(びとうじしゅう)、古賀精里(こがせいり)と共に「寛政の三博士」と並び称された朱子学者で、当館は、この3名の書を三幅対として所蔵している。