館蔵資料の紹介 2009年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2009年 > 白磁花形花器
井上萬二作
口径41.5×高さ23.0cm
井上萬二氏寄贈資料
白磁は磁器の一種で、工芸史、また芸術的にも重要な制作技術である。カオリナイトを主成分とするカオリンに長石、珪石(けいせき)を混ぜて白色の素地をつくり、これに透明釉を掛け、高火度で焼成する。
写真の作品は、口縁が5弁の花形状になり、縁のふくらみは下部へ斜めに流れるようにおさまっている。この形体は、最初に土を轆轤(ろくろ)で丸く形を挽き、生乾きの状態の時に、くびれの部分を指やヘラを使ってつくられたものである。
作者井上萬二氏は、1929年佐賀県西松浦郡有田町に生まれ、12代酒井田柿右衛門、奥川忠右衛門などに師事して、白磁制作法を学んだ。その後も磁器の成形や釉薬の研究に努め、白磁制作技法を極めていった。作品は一水会や日本伝統工芸展を中心に、多くの国内外の展覧会で発表され、さまざまな賞を受けている。1995年には、重要無形文化財(人間国宝)「白磁」保持者に認定された。伝統的な白磁制作技法の保持と後進の指導に尽力し、海外からも高い評価を得ている。