館蔵資料の紹介 2009年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2009年 > しん板魚つり組立画あそび
歌川芳藤(よしふじ)画
伊勢辰版
和紙
木版色刷
25.7×37.5cm
原作・江戸末期
鈴木三郎助氏寄贈資料
昨今、ペーパークラフトがブームであるが、江戸時代から明治時代にかけてもこのブームがみられた。それは、子ども用錦絵であるおもちゃ絵のうち、組立絵と呼ばれるものである。
組立絵は、組上絵(くみあげえ)、起し絵、上方では立版古(たてばんこ)、切組灯籠絵(きりくみとうろうえ)ともいい、1枚から数枚(中には10数枚のものもある)を用いて、芝居、合戦、建物、風景など、何らかの情景を立体的に組み立てるものである。制作は、少し厚手の紙を裏打ちしたのち、ハサミや小刀で切り抜き、糊をつけて組み立てていく。
図版の組立絵は、昨年寄贈を受けた鈴木コレクション(おもちゃ絵・絵双六89種)のうちの1枚で、組み立てると魚釣りの場面ができあがる。作者は、おもちゃ絵の絵師として有名な歌川芳藤で、この組立絵は彼の代表傑作として知られている。画面は紙全体を無駄なく用いるように工夫されている。子どもたちは失敗しないよう、慎重に切り取り、知恵を絞って組み立てながら、完成までを楽しんだであろう。