館蔵資料の紹介 2009年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2009年 > 林羅山筆蹟
紙本墨書
掛軸装
江戸時代初期(17世紀)
縦26.5×横42.8cm
林羅山(はやしらざん 1583-1657)は、本名を信勝といい、道春とも称した。江戸幕府の外交や諸制度調査、文教行政を担ったほか、徳川家康から家綱までの4人の将軍に侍講として仕え、日本における朱子学普及に決定的な影響を与えた儒学者である。
本資料は、「賦雪裏訪吟友(雪の裏(うち)に吟友を訪(おとな)ふを賦(ふ)す)」と題する五言絶句の漢詩で、「一夜尺餘雪積成満面銀 此中扶杖屨獨歩訪吟人」と懐紙に認(したた)められている。一夜にして一尺余りの雪が降り積もり、一面の銀世界である。この中を杖と屨(くつ)を助けとして、詩を吟ずる友人のもとを訪ねようと独り歩く、というのが大意である。雪を見ながら友人と詩作し、琴の音にでも合わせてそれを吟じようとしたのであろう。
この詩が江戸での情景を詠んだものであるとするならば、30cmもの雪が積もったのは、恐らく旧暦で年が改まる前後の頃のことではなかったかと推測される。