館蔵資料の紹介 2008年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2008年 > 小学体操図解
井上探景画
三宅半四郎(画工・出版)
和紙
木版色刷
35.5×23.8cm
明治19(1886)年
江戸時代にうまれた子ども用錦絵であるおもちゃ絵は、明治期になると大流行した。おもちゃ絵は、鑑賞を目的としたものと、ハサミや小刀などで切り取り、細工して遊ぶものに分けられる。図版は、子どもたちの体操を取り上げたおもちゃ絵で、和装、洋装などさまざまな服装をした子どもたちが、球竿(きゅうかん)や亜鈴(あれい)を手に軽体操を行っている。どちらかといえば鑑賞用といえるが、子どもによっては切り取って、遊びに使用したかもしれない。
学校教育における体操は、明治11(1878)年、文部省がアメリカからリーランドを体操教師として招き、体操伝習所を開設してから急速に発展していった。体操法の確立と教師養成が行われていく中で、軽体操、兵式体操、戸外遊戯の具体化が進み、明治19(1886)年に学校令が制定された際、体操は正課として確立した。一方で戸外遊戯の普及が、体操と遊戯をあわせもつ運動会へとつながっていった。