玉川大学教育博物館 館蔵資料の紹介(デジタルアーカイブ)

教育博物館では、近世・近代の日本教育史関係資料を主体とし、広く芸術資料、民俗資料、考古資料、シュヴァイツァー関係資料、玉川学園史及び創立者小原國芳関係資料などを収蔵しております。3万点以上におよぶ資料の中から、月刊誌「全人」にてご紹介した記事を掲載しています。
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館蔵資料の紹介 2008年

玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2008年 > 嘉納治五郎(帰一斎)筆蹟

精力善用

嘉納治五郎(帰一斎)筆蹟

紙本墨書
掛軸装
1930年代
縦124.8×横31.6cm 


嘉納治五郎(かのうじごろう 1860-1938)は講道館柔道の創始者として知られるが、それは彼の一面を示すに過ぎない。嘉納は学習院教頭、第五・第一高等中学校長、文部省普通学務局長、東京高等師範学校長等を歴任した。特に高師校長は3回通算26年にわたって務め、教師養成に尽力した教育者でもあった。

また明治42(1909)年以来30年、国際オリンピック委員会(IOC)委員として日本のスポーツ・体育振興に果たした功績も大きい。

戦争の影響で返上・中止となったが、昭和15(1940)年の東京五輪・札幌冬季五輪は、嘉納の奔走で招致に成功したものである。札幌大会開催を決めたカイロでのIOC総会を終え、日本に向かう船中で彼は不帰の客となった。

「精力善用」は、「自他共栄」と共に講道館の基本理念となっている。柔道の技術のみならず社会生活においても、物事を完遂(かんすい)するには、その目的のために自己の持つ心身の全力を、最善に活用するとの意とされる。

「全人」2008年9月号(No.720)より

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