館蔵資料の紹介 2008年
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雲獄(うんがく)画
紙本淡彩
全20図
巻子装
万延元(1860)年閏3月
長380.5×幅25.9cm
先ごろ収集したこの資料は、江戸時代の儒学者の肖像を集めて絵巻状に仕立てたものである。描かれているのは、藤原惺窩(ふじわらせいか 1561-1619)に始まり、林羅山(はやしらざん 1583-1657)、中江藤樹(なかえとうじゅ 1608-48)、伊藤仁斎(いとうじんさい1627-1705)、貝原益軒(かいばらえきけん 1630-1714)、荻生徂徠(おぎゅうそらい 1666-1728)、山崎闇斎(やまざきあんさい 1618-82)、新井白石(あらいはくせき 1657-1725)等で、末尾に描かれた宇佐美灊水(うさみしんすい 1710-76)まで、その数20名にのぼる。特定の学統学派に偏らず、朱子学・陽明学・古義学・古文辞学等から名高い学者とその門弟を、広く採り上げている。
背景はなく、人物のみを墨線で描いた後、肌や衣服を淡く着色する程度の、簡素な仕上げになっている。絵姿は、それぞれの学者の肖像として知られたものに近いことから、それらに倣って写したものであろう。奥書によると、雲嶽という絵師が、依頼者の求めで描いたとあるが、両者ともその詳細は明らかではない。