館蔵資料の紹介 2007年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2007年 > 飛騨川流筏
山田玉雲作
紙本墨画
82.0×130.0cm
山田美代氏寄贈資料
作者の山田貞實(玉雲は号、1915-2000)氏は東京美術学校(現東京藝術大学)で学んだのち、独立美術協会を中心に活動した作家である。1953年から本学に勤務され、文学部芸術学科教授として、1982年に退職されるまで、30年にわたって美術教育にたずさわった。氏は油彩画のほかに、水墨画の作品も多く制作し、全日本水墨画会会長、日本墨絵会会長を務めるなど水墨画の普及と後進の指導に尽力した。また、作品集、技法書、美術教育関係の書籍を多数出版されている。
作品には峻険な岩肌、巨岩、岩礁、急流がおりなす難所をいく筏(いかだ)師たちの情景が墨の濃淡、にじみを駆使して描かれている。飛騨地方の山々の間を縫うように流れている木曽川の一大支流飛騨川の舟運は、物資や人を運ぶ大切な手段であった。飛騨川と木曽川が合流する岐阜県加茂郡下米田村(現美濃加茂市下米田町)に生まれた作者は、幼い頃から木曽檜などの木材が筏に編成されて川を流送されていく様子を日常的に目にしていたであろう。