玉川大学教育博物館 館蔵資料の紹介(デジタルアーカイブ)

教育博物館では、近世・近代の日本教育史関係資料を主体とし、広く芸術資料、民俗資料、考古資料、シュヴァイツァー関係資料、玉川学園史及び創立者小原國芳関係資料などを収蔵しております。3万点以上におよぶ資料の中から、月刊誌「全人」にてご紹介した記事を掲載しています。
全人掲載年

玉川大学教育博物館
〒194-8610
東京都町田市玉川学園6-1-1
Tel:042-739-8656
Fax:042-739-8654
mail:museum@tamagawa.ac.jp

館蔵資料の紹介 2007年

玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2007年 > 能面「童子」

童子

童子

髙津紘一 作
髙津紘一氏寄贈資料
撮影/斉藤雄致


少年の面にはいくつかの種類がある。「十六(じゅうろく)」「喝食(かつしき)」は人間の美少年。「猩猩(しょうじょう)」は酒に浮かれて戯れる妖精。そして、身の丈ほどもある長い黒頭(くろがしら 仮髪(かはつ))をつけた出立(いでたち)で現れる「童子(どうじ)」は霊的な存在である。

透き通るような白い肌に、ひと筋ひと筋丹念に描かれた前髪が映え、少年の可憐さのなかに大人びた表情をのぞかせる不思議さと、神秘的な風姿をただよわせる。

能のなかでも勇壮で豪華な演目「石橋(しゃっきょう)」は二場に分かれ、童子は前シテ(前半部分の主役)として登場する。

仏跡を訪ね歩いた寂昭(じゃくしょう)法師が仙境・清涼山(しょうりょうせん)へとたどり着く。法師が石橋を渡ろうとすると、童子が現れ、その先は文殊菩薩の浄土であるという。昔の高僧でさえ、この橋を渡るには難行苦行したもので、仏力を得た者だけに許されると戒め、しばらく橋のたもとで待てば、やがて菩薩の来臨があるでしょうといって、童子は立ち去るのである。

「童子」はほかに、平安時代の坂上田村麻呂征夷大将軍の功績を描く「田村」や、「天鼓(てんこ)」「大江山」などの演目で、いずれも神性を帯びた役柄に用いられる。

「全人」2007年4月号(No.705)より

前の記事を見る  次の記事を見る

玉川大学教育博物館

このページの一番上に戻る