館蔵資料の紹介 2006年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2006年 > 中江藤樹像
石本暁海 作
木彫 一木造
大正13(1924)年7月
高23.3×幅20.5×奥行16.3cm
近江国小川村(現在の滋賀県高島市)に生まれ、同地を拠点に活躍した中江藤樹(なかえとうじゅ 1608-48)は、江戸時代前期の儒者として名高く、わが国陽明学の祖とされる。また後世、「近江聖人」と称えられるほどのその徳は、近隣の住民をも感化するところ著しく、近代の小学校用修身教科書に逸話が採録され、広く全国に知られていた。熊沢蕃山(くまざわばんざん)などの儒者のほか、岡山藩31万石の大名池田光政も、熱心に彼の教えを受けたひとりであった。
箱書きおよび共伴する書き付けによれば、本資料は、彼を祭神として大正11年に創建された藤樹神社の神像を、模刻したものである。神像より若干小さめながら、同一の母材(台湾阿里山産)を用いている。もともとは、大阪市青年連合団理事であった人物へ、退職記念品として贈られたものであったという。なお作者は神像と同じく、京都を中心に活躍した彫刻家、石本暁海(いしもとぎょうかい)(暁曠(ぎょうこう)1888-1935)である。