館蔵資料の紹介 2006年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2006年 > 頼山陽像
秦蔵六(二代)作
ブロンズ
幅14.0×高さ14.7×奥行10.5cm
大正12(1923)年
置台の上に座像であらわされた人物は、江戸時代後期を代表する儒者の頼山陽(らいさんよう)である。作者である秦蔵六(はたぞうろく)は幕末から続く世襲の鋳金家として知られている。初代蔵六(文政6−明治23年、1823-90年)は山城国(京都府)に生まれ、鉄瓶を中心とした蝋型(ろうがた)鋳造品や中国古銅器の模作を得意とした。二代蔵六(安政元-昭和7年、1854−1932年)は初代の長男で本名を祝之助といい、父から受け継いだ作風と鋳造技法をもって、多くの鋳造作品を手がけた。明治6(1873)年には、初代とともに鶏頭紐型鳳龍文(けいとうちゅうけいほうりゅうもん)『天皇御璽(ぎょじ)』『大日本国璽』(共に金印)を鋳造した。
像の頼山陽は『日本外史』『日本政記』『山陽詩鈔』などを著し、また書画にも秀で、関西地域における文人墨客の指導者的存在であった。その歴史論は幕末尊攘派の志士に多大な影響を与えたが、蔵六はそうした山陽の持つ雰囲気を巧みに表現している。