館蔵資料の紹介 2006年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2006年 > 天球図
司馬江漢作
和紙に銅版筆彩
38.5×47.0cm
寛政8(1796)年
司馬江漢(しばこうかん 延享4-文政元年、1747-1818年)は江戸時代を代表する洋風画家で、天明3(1783)年に日本ではじめて銅版画(エッチング)を制作した。江漢が手がけた透視遠近法、陰影法などの西洋画法による銅版画や油彩画は、近代洋画につながる先駆的役割をはたしている。
寛政8(1796)年の春に制作したこの「天球図」は、ギリシア神話による星座図である。当館所蔵の「天球図」は「日本創製銅版天球全図」という題簽(だいせん)*1をもつ版画連作(巻子装(かんすそう)*2)の1枚になっている。連作の内容は、天球図南・北2図の他、屋耳列礼(オルレイ)図解(木版)、以下銅版筆彩のORRERY図、太陽真形図、月輪真形図、地球楕円図、天動説地動説説明図、大地浮天之図、潮候図、以顕微鏡観雪花図、以顕微鏡観虫類図で、最初の部分に題簽(木版)と序文(木版)がつけられている。江漢が制作した風景銅版画などに比べると、刷った枚数はかなり少なかったと思われ、現存するものも少数である。
*1:題名・巻冊の順を記した短冊形の紙や布のこと
*2:紙や布を長く貼り継ぎ、末端につけた軸木に巻けるようにしたもの