館蔵資料の紹介 2006年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2006年 > コンポジション
アルベルト・ブーリ作
キャンバスに油彩
54.0×43.0cm
1950年
藤沢武夫氏寄贈資料
絵の具が幾筋も流れ落ちたような跡を交差させて格子状に構成したこの絵は、ブーリ(1915-95)の初期の代表作品である。ブーリはイタリアのペルージア近郊のチッタ・ディ・カステルロに生まれ、ペルージアで医学を修めた。北アフリカで軍医官として服務するが、第2次世界大戦中に米軍捕虜となり、テキサスの収容所で3年間過ごした。絵を描きはじめたのはその頃であり、1945年イタリアにもどったのちは絵画制作に専念した。
1950年代以降、麻布、木、鉄、プラスチックなどの材料を画面に貼りつけて構成したシリーズをつくりはじめた。とくに、裂いたり、焼いたり、ねじ曲げたものを貼りつけた作品や、そうした加工を施した異なる素材を組み合わせる作品シリーズにより、20世紀イタリアを代表する美術家として知られるようになった。素材になんらかの形で働きかけ、力を加えた傷(=痕跡)が画面の中で強い緊張関係を生み、それが彼の作品の特徴になっている。