館蔵資料の紹介 2006年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2006年 > 児学 教導単語之図
木版色刷
35.5×24.0cm
1875(明治8)年
明治時代になり、錦絵は鑑賞用・愛玩用としての役割を超えて、教育絵、広告絵、おもちゃ絵、新聞錦絵など、実用的なものを含めて幅広い分野で利用された。教育の分野でも教科書をはじめ、掛図、地図、一枚物の教育用絵図など多くの教材・教具が錦絵に代表される木版印刷技術を用いてつくられている。
図版の錦絵は、明治初年の、掛図を用いた授業風景をあらわしたもので、着物姿の教師が単語図(第八)をさして、やはり着物姿が目立つ子どもたちに問答の授業を展開している場面になっている。描かれている単語図は、1874(明治7)年に文部省が各府県での普及をめざして翻刻発行をした掛図である。単語図は 8種からなり、第一と第二は仮名づかい、第三から第八は日常生活にみられる身近な事物の名称および性質や用途を学ぶためのもので、いずれも単語や絵で構成している。
このような掛図を模した絵柄をもつ錦絵は、家庭教育の場で使用されたものと考えられる。