館蔵資料の紹介 2005年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2005年 > 尋常小学修身掛図
寺崎廣業画
文部省
紙に石版印刷
75.0×80.2cm
1906(明治39)年
国定(文部省著作)教科書が使用された時期の諸教科目のなかで、修身科は5回におよぶ全面改訂が行われ、その度に新たな掛図を編纂発行している。他の科目にはみられない度重なる改訂が行われた理由は、当時の初等教育政策により、修身科が全教科中の首位に位置づけられ、徳育による子どもたちの教化を最重要視したことによる。また修身科においては、子どもたちに感銘と経験によって学習内容を会得させることが大切であるということから、その時代に応じた内容を強調したことも影響している。
図版の掛図は第1学年用であるが、第1学年は児童用修身教科書が刊行されなかったため、この掛図だけが唯一の教材であった。内容は学校・家庭・社会における心得、個人・国民・子どもとしての心得を26図に分けて構成している。なお、図を描いたのは文展審査員、帝室技芸員、東京美術学校教授として活躍した日本画家・寺崎廣業(こうぎょう)である。