館蔵資料の紹介 2005年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2005年 > 徳川斉昭筆蹟
絹本墨書
軸装
江戸後期
縦140.7×横55.4cm
水戸藩第9代藩主・徳川斉昭(1800~1860)は、「烈公」の諡(おくりな)が示すように、江戸後期に開国を迫る欧米列強の脅威に対し、尊王攘夷派大名の中心となって活躍したほか、藩政面でも不安定要因を抱える中、強いリーダーシップを以て臨んだ。教育面では、藤田東湖(とうこ)、会沢正志斎(あいざわせいしさい)、青山延于(のぶゆき)・延光(のぶみつ)父子等を用いて、藩士への教育を熱心に行い、 1841(天保12)年には全国最大規模の藩校「弘道館」を開設した。そこでは後に水戸学と称される、歴史的正当性を重視し、尊王の念に篤く国体や道義を重んじる独特のものが展開された。
斉昭は同時に風雅を好んだ人物であり、梅で名高い偕楽園も、彼によって開かれたものである。また、書も能くし、特に堂々とした風格のある隷書を得意とした。本資料は「厲文武忠孝可正禮儀事」(文武忠孝を厲(はげま)し礼儀を正す可べき事)とあり、天和3(1683)年に改正された武家諸法度の第一条を記したものである。